モノが売れない時代にあって、小中高生をターゲットにした商品の売れ行きは着実な伸びを見せている。
アニメ、ゲーム、CDなど子供の購買心を巧みに利用して、次から次への新商品を打ち出していく。
そして、それらの商品に内在する“毒”が表面化しているのも事実である。
しかし、毒とするのも薬とするのも大人次第である。なぜなら、無収入の子供は親の懐で、モノを買うからである。
任天堂の「ファミリーコンピューター」が登場して以来、テレビゲームは日本中を席巻した。
企業側からすればわずか数年でで巨大なマーケットを作りあげたが、その影響は至るところに及んでいる。
日本国内をみた場合、ゲーム機の世帯普及率は60%以上に達し、市場としてはすでに成熟期にさしかかっている。
これまでの経過をみると、新しいゲーム機が登場すると、それに合わせてソフトが登場し、市場を拡大させていく。
市場が飽和状態に近付くとさらに、新しいゲーム機を世に出して消費者の購買意欲を高めていくという手法がとられている。
これらのゲーム機の購買層は、いまや幼児から小中高生さらに大人世代まで及ぶ。
ただ、ゲーム機が影響を及ぼすのは、小中高生の若い世代に対してである。
大人は自己責任だから。
公文こども研究所(大阪市)はこのほど、子供を対象にしたゲーム機の所有について調査した。
それによると、携帯用ゲーム機では小学生男子で72.7%。中学生男子で73.1%にのぼったという。
また、家庭用ゲーム機では小学生男子で63.3%、中学生男子で73.1%、高校生で59.1%という結果が出た。
ほとんどの児童生徒がもっていることになる。
問題はゲームのような子供をターゲットにした商業主義がいまの日本に蔓延していること。
さらにその弊害についてあらゆる部門から指摘されているにもかかわらず教育委員会などの公的な教育機関からその対策が一切出されていないことだ。
企業はとくにゲーム機やソフトメーカーなど子供向けの機器を扱っている企業は、子供を「将来の日本をつくる大切な宝」などとは決して見てはいない。
あくまでも「金儲けの対象」としか見つめていない。
かつて、日本の子供の遊び道具には「夢」があったし、アニメや特撮にしてもただの勧善懲悪ではなく、深く考えさせらる問題を提起していた。