汎用性という意味からは、ザクは宇宙、地上と活躍したことでも伺える。
本来、宇宙と地上は全く違う環境であり、地上では寒冷地から砂漠地帯までの多くの環境に適応した。
もちろん、同一の機体ではなく、それぞれの環境の仕様ではあったが、それを可能にする汎用性が、
ザクと言う機体には備わっていたのである。なんと言う基本性能の高さであろうか?!!
そして何よりも大量生産、大量配備、そこから導かれる大量のデータのフィードバックである。
モビルスーツのあの複雑な動きを、あの簡易な操作系で実現するには、コンピュータの補助が必須であったろう。
パソコンで言うところのOSである。
ザクが新米からベテランまで、様々な環境での大量のデータによって、OSのプログラムの改良・進化があったものと見るのが妥当であろう。
兵器だけでなく工業製品なら何でもそうだが、データがなければ開発できない。特に兵器では実戦データが貴重極まりないものであろう。
その貴重なデータが、ザクにはあったのである。
戦時中は、ザクのOSは頻繁にバージョンアップされたと思われる。そしてそれは洗練され扱いやすいモノになっていったであろう。
アムロだけのデータでアムロ専用に改良されたガンダムOSとの違いがここにある。
スペック厨は、出力などの性能面だけを比べて、ガンダムはもとよりジムにも劣ると言い、ザクはやられキャラと言うが、
それはゲームの中の話であって、実戦でのリアルでシリアスな現実ではない。
全てのジオン系モビルスーツはザクを基本に進化する。と書くと、それぞれのMSを作ったメーカーが違うと資料集ヲタが反論するかも
しれないが、冒頭にも書いたように、軍がオーダーして軍需産業が開発するのである。であるならば、軍はザクを基本にして
新たなMSの仕様をオーダーするのではないか?開発の系譜としては違っても、軍の採用モビルスーツとしては概念にはザクから導かれた
仕様があると思われる。ゆえに、ザクから進化するのである。
ドムなども地上、宇宙で運用した事など、まさにザクの思想そのものであろう。
グフなども地上戦用のザクの大幅なマイナーチェンジモデルと思われる。フルモデルチェンジならば宇宙でも運用されたはずである。(この時期ならば)
(1年戦争の後半は、地上での覇権が弱まったせいもあり、地上、宇宙両用のMSではなく、宇宙での運用を主としたMSが開発される)
また、ザクの装備についてもその汎用性の思想が貫かれている。ビーム兵器を装備していない事がそうなのである。
ビーム兵器は、エネルギーを喰う。ゆえに、高性能で大型の核融合炉が必要であろうし、メカニズムの複雑さから故障の可能性が高く、
メンテナンスも大変であろう。また、量産効果も低くなる。
ガンダムでもエネルギー切れでビームライフルを打てない時があったし、ワンオフの一機のみでの運用であったが為に
メンテナンスを含めた運用の高コストは度外視だから可能であったと思われる。
ザクの主装備であるザクマシンガンもヒートロッドもある意味アナログな兵器である。
単純な機構を持つがゆえに。故障率が低く、運用に容易く、メンテナンスが易い。量産効果も高い。
述べてきた内容から、ジオンが開戦初期に多量のザクを投入することができ、戦果を上げたのも頷けることである。
以上の理由から、ザクという機体は1年戦争時の名機と言っても過言ではない。と言うのが結論である。
「暇潰し」という言葉では失礼なほど
没頭して読んでしまいました。